フラットプレート
10年前、佐々木さんとお取引を始めたときに、厚かましくもお願いして特別に作っていただいた思い出深いお皿です。
内側を刳らず平坦なままの、横に置いた時に水平線になる美しさとシンプルさが大好きで、完成品を見せられた時は思わず飛びついてしまったほどです。
カフェでもピザ皿としてずっと愛用されてきました。
今回、記念としてまた作っていただいた、大小のフラットプレートが並んでいます。
このプレートも上から見ると、裁断した球体のようにコブ目と木目の美しさが際立っています。
ハルニレコブ 径23.8cm
7000円(+税)
月別アーカイブ: 2018年8月
ものづくりの人間としての矜持
以下は今年の6月、幕別町の旧小学校に佐々木要さんの工房を訪ねて、伺ったお話です。
会計士から材木屋へ、木の凄みに出逢う。
木を挽くことが大好きになって、それだけにとどまらず仕事後、夜な夜な趣味で器作りを始める。器の性質をもっと知りたい。もっと木に触れていたい。
そのうちに挽きたての生の木を木ろくろで刳るとどうなるのか。
70年代後半のことで、グリーン材という言葉すらなかった時代。
北海道という土地柄、伝統工芸としての木工技法を知るすべもなく、まわりの仲間でも同じことに関心を持つ人はいなかった。
アメリカからリチャードラーファン(グリーン材ものづくりの先駆け)の本やビデオを取り寄せ、独学で研究する。
木のうつわの仕事をはじめるにあたって、退職金を全て木材費に充てた。
とにかく木が大好きで、いつも触っていたい。形も厚みも手触りも。
本当に好きでないとこんなに続かない。
木の自然乾燥
木材として木の器を刳れるようになるまで。「一寸一年」ともいう。
裏庭で乾かしている材木で一番の古参は17年もの。
最も厚い材木で10cm。
挽くのは冬が多い。挽く(裁断)
送られてきたときは直に積まれており、水分のせいで1日でカビが生えるので、まんぼう(さん木)を二日がかりであてがい、空気が通るようにする。
素人では一本すらあてがうことが不可能=積んだときにガタガタになり、崩れやすい。
自然の空気にあて徐々に、じっくり木の含水率を減らしていく。
今年は6月に挽いた。含水率は70-80%で、重さ70-80kg。
挽きたての木材は含水率が100%を超える。一立方m=1トンといわれる。
2年ほどかけて自然外気で15-18%まで。
自然乾燥では最速で3-6ヶ月。2-3年かかることも。
さらに室内で乾かして器の材木となるまで含水率を10%以下にする。
十勝の木の日曜日
Start!
十勝の木のうつわ
昨日、幕別の旧小学校の佐々木さんの工房を訪ねてきました。
佐々木さんの木のうつわを説明して下さる姿を見て、痛感させられました。
10年前、初めてお会いした際の印象と、変わっていなかったのです。
木に関するさまざまな質問に、ある高揚感をもって次々にお話ししてくださる佐々木さんは、以前と変わらない、何かに没頭する少年のような無邪気な良いお顔をされていました。
うつわの素材となる木そのものを、あえて自然乾燥で数年もの期間をかけてじっくりと器の素地をつくる、ということ。
木のことを熟知する材木の仕事をされていた佐々木さんだからこそ、そのスタート地点から、木と付き合うことに膨大な時間を費やしている。それを何十年も続けていることに驚嘆するしかありませんでした。
もともと私が十勝の木のうつわの一ファンで、木の温もりと使い勝手が良いという、本当に単純な理由でお取り扱いのお願いをしたのが最初ですが、今回の訪問で、佐々木さんのものづくりに対する姿勢の芯の太さを改めて知らされました。
一つの器ができあがるまでの背景を知るのも、その器を楽しめる要素と思います。
10回目の記念の展示会、お楽しみに。